考える技術 | 頭の整理と思考のトレーニング

考える技術



著者: 大前 研一
タイトル: 考える技術


思考力を鍛えたいと思っている私は、飛びついて読みました(笑)。
大前氏の著書は昔から大好きですが、私にとって、数多くの氏の著書の中でも秀逸の1冊です。

氏は前著『新・資本論』において、先人がアメリカという新大陸を発見し新しい時代に入ったように、時代は「見えない大陸」を目の前にしていると述べています。その大陸は、4つの経済空間が複雑に絡み合って構成されおり、それらを「実体経済」「ボーダレス経済」「サイバー経済」「マルチプル経済」と定義しています。各経済論の解説は前著をお読み下さい。

見えない大陸を迎えている今、ビジネスパーソンは“論理的思考力”が無ければ生き残ることが出来ないとし、今回の「考える技術」は、その力のつけ方・鍛え方の指南書になっています。

本書を読んで、私はまだまだ「考える」ことが足りないと大いに反省し、今日からの仕事への取り組み姿勢に早速反映していこうと思いました。

新・資本論だ、○○経済だ、と仰々しい言葉を冒頭に並べてしまいましたが、本書は、事業課題の分析シミュレーションや、プレゼンテーションを実施する際の思考について等、身近に感じられる話で構成されており、“論理的思考力”の必要性を痛感させられます。

また私自身の自己分析として、「創造力・発想力」という弱さを今まで自覚していたのですが、氏の「新しい発想や新しい構想というものは、論理的思考の延長線上にあるものであって、突然出てくるものではない。」という言葉に、「創造力・発想力の弱さ=考えることの足りなさ」であると再認識させられました。

人を納得させるための力も、本質を見抜く力も、新しい発想を生み出す力も、未来を予測する力も、全ての起点は「論理的思考力」と「行動力」にあるのです。(「思考力」という言葉ばかりが先立ってしまいましたが、思考のプロセスにおけるフィールド・ワークの重要性についても述べられています。)

論理的思考力を鍛えるためには、日常のトレーニングが重要だそうです(当然ですね・・・)。そのためには、

■常に好奇心を持つこと。
役に立たないと思わず、どんなことでも好奇心を持って話を聞き、調べ、「知的備蓄」を行っておくこと。自分がいざという場面に出くわしたときの思考空間が広がる。

■時間を中途半端に使わないこと。
1年間で100時間の勉強が忙しいからできない、という人に、「1年間にプロ野球のTV中継を何時間観るのか?」「ゴルフは何時間自分でやり、何時間TVを観るのか?」と問えば、凡そ300時間くらいは使っているもの。忙しいと言っている人間に限って、実は無駄な時間が多いもの。

自分を戒め、日々精進したいと思います。
本書は私のビジネス・バイブルの1冊に仲間入りです。


思考力格差の時代とは、思考力によって極めて大きな経済格差が生まれる時代。知的に怠惰な人間は生き残れない。人の2倍考える人間は10倍の収入を、3倍考える人間は100倍の収入を、10倍考える人間は時価総額1兆円企業の創業者になれる可能性もある。(本書より)