MOT -真実の瞬間・決定的瞬間- | 頭の整理と思考のトレーニング

MOT -真実の瞬間・決定的瞬間-

最近良く耳にするMOTとは、Management of Technologyの略で、技術経営と訳されます。

日々刻々と進歩する“技術”を事業に結びつけることにより、企業競争力を向上させようという活動全般をさす概念なのですが、技術版MBAとも言われ、技術経営を学ぶためのコースを設置している大学院やビジネススクールもあります。

前振りが長くなりました。
表題にしたMOTは技術経営ではありません。

今回取り上げるMOTとは、Moments of truthの略で、真実の瞬間とか決定的瞬間と訳されます。スカンジナビア航空(SAS)のヤン・カールソン氏が社長に就任後、経営理念として標榜した言葉です。以下、氏の言葉の要約。

SASを利用する乗客は年間1000万人程。この乗客一人ひとりが、SASの受付カウンターのスタッフや従業員等、平均して5人程度と接触機会を持つ。すると、年間で乗客とSASスタッフとの接触回数は5000万回となる。また、1回あたりの平均接触時間は15秒程である。

乗客が航空会社を選んだり止めたりするのは、実はこの5000万回の1回毎の瞬間に抱くイメージや印象に負うところが大きい。それが正しい真実だとすると、この5000万回の1回1回の15秒がまさに「決定的瞬間」となる。従って、この決定的瞬間を充実させるために、顧客接点に事業全体の中心価値と活動意思決定を置く必要がある。


既述の「CSとES 」において、「企業⇔社員、社員⇔顧客という図式が引いては、企業⇔顧客という関係図式を創る。単に商品やサービスの品質や価値だけではなく、企業⇔社員という関係の中で全社的に取り組んでいく経営品質が、顧客満足を生み出すのだと思う。」と書きました。

企業の全ての業務が、真実の瞬間・決定的瞬間に対して直接的ないしは間接的に関わっているのだと思います。私自身は今、自社のお客様と直接の接点を持つ仕事をしておりません。しかし、真実の瞬間・決定的瞬間を間接的にサポートしているのだという意識を忘れないようにしたいと思います。