エスキモーが氷を買うとき | 頭の整理と思考のトレーニング

エスキモーが氷を買うとき



著者: ジョン スポールストラ, Jon Spoelstra, 宮本 喜一
タイトル: エスキモーが氷を買うとき―奇跡のマーケティング


2002年に初版が発行されており、今頃?という方もいらっしゃるでしょうがお許しを。この正月にやっと(笑)読みました。前々からタイトルを気にし続けていたのですが、何故か読まずにいたのです。

著者のジョン・スポールストラ氏は、NBA(全米バスケットボール協会)で観客動員数最下位だったニュージャージー・ネッツを、最弱のまま高収益チームへの変貌させた人物だそうです。本書では、氏が手がけた具体的な数々の「常識破りのマーケティング」実例を紹介しています。

スポーツ業界にもマーケティングが必要ということなのですが、まさに昨年の話題をさらった日本プロ野球界のことを考えると、ある意味非常にタイムリーであり、プロ野球オーナー面々に読んで頂きたい書籍のNo.1かもしれません。

話が実例であり具体的であることから、スポーツ界に留まらず、マーケティングの発想力強化教材として非常に有益だと感じました。氏曰く、マーケティングの極意とは「エスキモーに氷を売れるだけの発想力」だ、ということでまさにタイトル通り!

また、マーケティング以外の観点で私が非常に共感を覚えたポイントが下記の2点です。

■簡単にできそうな水準以上のところまで目標を高く上げない限り、チームの状態をよくするチャンスが手に入るわけではない。
「どうすれば与えられた予算の数字を達成できるか」とか、「昨年以上の利益を確保するためにはどうすればよいか」といった発想では駄目で、「目的を達成するためには何が必要なのか」「最高の収益をあげるためには何をするべきか」という本質的な問いかけを発想の起点にしない限り、本物の常識破りのマーケティングのアイデアを生み出すことはできないのだそうです。

全ての仕事に通じる真理の1つだと思います。高い目標を掲げ、目線を高くしない限り、breakthroughは生まれないものです。
 
■会社にとって最も大切な人は従業員である。
会社にとっても最も大切な人はだれか?という問いかけに対し、「常識破りのマーケティングに取組んでいる優良企業なら、例外なく次のような順番になっていてほしいものだ。1.従業員 2.顧客 3.株主」と言っています。

従業員に活力があり自分の仕事に情熱を持っていれば、顧客を惹きつけ売上高の増大をもたらし、会社の利益が伸びて株主も喜ぶという話で、諸手をあげて賛同です。


スポールストラ氏が、昨年末にスノーボードメーカーのバートンと契約をしたという話も聞きました(真偽の程は確認しておりません)。昨今スノースポーツ離れに拍車がかかっているという中(私も離れてしまった1人)で、氏が如何なる手腕を発揮されるのか。バートンの動向に期待したくなる1冊でした。


新年明けましておめでとうございます。
2005年最初の記事更新が遅くなってしまいましたが、こんな調子で続けていきます(笑)。本年も宜しくお願い致します。