男道 清原和博 | 頭の整理と思考のトレーニング

男道 清原和博

男道/清原 和博
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以前、本屋でこの本を見かけた時、手に取る気になりませんでした。


何となく、「“番長”と囃し立てられた成れの果てに、愚かな男気を気取った本を出したか・・・」と思ってしまったのです・・・。先日、職場の部下が「面白かったですよ!」と貸してくれまして、怖いもの見たさに、とうとう読んだ次第です。



PL学園のKKコンビとして甲子園を沸かせた頃から、清原選手のことは好きでした。


ドラフトで巨人の指名を受けることができずに涙した記者会見をTVで見ました。

巨人vs西武の日本シリーズで、試合中に涙を流す清原選手をTVで見ました。

FA権を獲得し、巨人にやってきた清原選手を心から応援しました。

マスコミが何と言おうと、周囲の人が何と言おうと、「頑張ってほしい」と思う選手でした。


私はプロ野球の巨人ファン。巨人に拘り、巨人にふられ、巨人に涙した清原選手は、西武時代も、FAで巨人に来た時も、オリックスに行ってからのリハビリ生活時代も、ずっとその動向を追い続けた選手です。引退試合やセレモニーは、TVの画面を食い入る様に見つめていました。


西武に入団した1年目に31本のホームランを打ち、この選手は、いつの日か王さんのホームラン記録を塗り替える可能性があるのではないか?って思いました。毎年、「今年こそはホームランキングのタイトルを清原に取って欲しい」、「いつの日か三冠王を取って欲しい」と思い続けたのですが、とうとう無冠の帝王としてユニホームを脱ぐことになってしまい、それが清原選手らしいと思うのと同時に、残念でならないという気持ちが同じくらいあったのです。


甲子園で活躍していた頃の輝きは、群を抜いていました。

プロ野球デビュー1年目のホームラン数は驚きでした。

西武の4番時代は、広角に打ち分けるホームランが、しなやかに見えました。

巨人に来て、どんどんマッチョになって、時折見せるホームランは度肝を抜く迫力でした。


何故、タイトルが取れないのか?

注目される程には、抜きんでた成績が残せないのは何故なのか?

確かに500本を越えるホームラン記録を残し、2,000本安打を達成し、名球会入りの権利は獲得したものの、清原という選手は、もっともっと大きな記録を残すことができたのではないのか?



この本を読んで、少しだけ分かったような気がしました。


私は、勤めている会社で人材育成の仕事に6年間携わりました。特に、入社後間もない若手社員の育成に数多く関わってきました。1,000人を超える若手社員を見てきた中で、伸びる社員・成長する度合いの大きい社員というのは、素直な心で他人の話を聴く耳を持っている社員でした。


清原選手は、あまりにも「拘り」が強すぎて、周囲の人に対して素直な心を持って接することができていなかったのではないか、他人の助言を聴く耳を持つことができなかったのではないかと思ったのです。だから、余りある才能を更に伸ばすことができず、才能の分だけの記録しか残すことができなかったのではないかと。


どんなことに対しても、拘りを持つのは大切なことだと思います。

しかし、拘りも度が過ぎると、自己の成長を阻害します。

もちろん、拘り抜いた結果について、それで良しと満足するか否かは、他人が決めることではないのですが。



大好きだった清原選手。

とうとう無冠の帝王に終わった清原選手。



ボールを遠くに飛ばすことに拘り続けた23年間の選手生活に、本人は一定の満足感と納得感を持っているのだと思いますが、本書を読んで、拘り続けた選手生活に、やり抜いた男の凄さを感じるのとともに、『愚かなまでの拘り』に対して、何となくもの悲しさを感じたのは、私だけでしょうか・・・?




とは言え、PL学園時代から含め、26年間に渡って楽しませてくれた清原選手。

桑田選手に対する素直な気持ちも本書に書いてくれていることを加味して、


★★★★☆!

(星4つ!)