頭の整理と思考のトレーニング -5ページ目

エスキモーが氷を買うとき



著者: ジョン スポールストラ, Jon Spoelstra, 宮本 喜一
タイトル: エスキモーが氷を買うとき―奇跡のマーケティング


2002年に初版が発行されており、今頃?という方もいらっしゃるでしょうがお許しを。この正月にやっと(笑)読みました。前々からタイトルを気にし続けていたのですが、何故か読まずにいたのです。

著者のジョン・スポールストラ氏は、NBA(全米バスケットボール協会)で観客動員数最下位だったニュージャージー・ネッツを、最弱のまま高収益チームへの変貌させた人物だそうです。本書では、氏が手がけた具体的な数々の「常識破りのマーケティング」実例を紹介しています。

スポーツ業界にもマーケティングが必要ということなのですが、まさに昨年の話題をさらった日本プロ野球界のことを考えると、ある意味非常にタイムリーであり、プロ野球オーナー面々に読んで頂きたい書籍のNo.1かもしれません。

話が実例であり具体的であることから、スポーツ界に留まらず、マーケティングの発想力強化教材として非常に有益だと感じました。氏曰く、マーケティングの極意とは「エスキモーに氷を売れるだけの発想力」だ、ということでまさにタイトル通り!

また、マーケティング以外の観点で私が非常に共感を覚えたポイントが下記の2点です。

■簡単にできそうな水準以上のところまで目標を高く上げない限り、チームの状態をよくするチャンスが手に入るわけではない。
「どうすれば与えられた予算の数字を達成できるか」とか、「昨年以上の利益を確保するためにはどうすればよいか」といった発想では駄目で、「目的を達成するためには何が必要なのか」「最高の収益をあげるためには何をするべきか」という本質的な問いかけを発想の起点にしない限り、本物の常識破りのマーケティングのアイデアを生み出すことはできないのだそうです。

全ての仕事に通じる真理の1つだと思います。高い目標を掲げ、目線を高くしない限り、breakthroughは生まれないものです。
 
■会社にとって最も大切な人は従業員である。
会社にとっても最も大切な人はだれか?という問いかけに対し、「常識破りのマーケティングに取組んでいる優良企業なら、例外なく次のような順番になっていてほしいものだ。1.従業員 2.顧客 3.株主」と言っています。

従業員に活力があり自分の仕事に情熱を持っていれば、顧客を惹きつけ売上高の増大をもたらし、会社の利益が伸びて株主も喜ぶという話で、諸手をあげて賛同です。


スポールストラ氏が、昨年末にスノーボードメーカーのバートンと契約をしたという話も聞きました(真偽の程は確認しておりません)。昨今スノースポーツ離れに拍車がかかっているという中(私も離れてしまった1人)で、氏が如何なる手腕を発揮されるのか。バートンの動向に期待したくなる1冊でした。


新年明けましておめでとうございます。
2005年最初の記事更新が遅くなってしまいましたが、こんな調子で続けていきます(笑)。本年も宜しくお願い致します。

これから -継続は力なり-

本日で2004年も終了です。

社会人歴10年目を迎えた自分自身の棚卸しをしてみようと思って始めたのが、このブログです。日々更新をすることは気にせず、ランキング上下をささやかな楽しみに、また時折入れていただく皆様からのコメントが嬉しくて、3日坊主が常であった私が約3ヶ月も続けてくることができました。(12月はかなりサボリましたが)

リアル・ライフにおいても「初めて」のことが多かった1年でしたが、その分色々な刺激を受けることができました。自分自身の棚卸しとして「頭の整理」をしてみようと思い立ったのも、リアル・ライフで受けた刺激によるものです。

来年は、更新ペースは今年同様に肩肘張らず、記事内容についてはもう少し肩の力を抜いて、「継続」していくことを目標にしたいと思います。


それでは皆様、良いお年をお迎えください。
この拙いブログに目を通して頂いた皆様に、素晴らしい2005年が訪れることを祈念しております。

2004年10大ニュース

日経BPに「読者が選ぶ2004年10大注目記事ランキング」が掲載されました。10位までを転記しますと、下記の通りです。

1.ライブドアには重すぎた「プロ野球参入」の扉
2.新潟県中越地震:震災時に防災無線が使われなかった本当の理由
3.西武グループに解体の危機、膨大な含み益も枯渇へ
4.成果主義によって職場の士気低下、うつにも
5.「温暖化で日本の猛暑と豪雨は激化」、地球シミュレータで見通し計算
6.薄型大画面テレビ界に「大型新人」、SEDパネル商品化へ
7.アジアカップに見る日中関係の軋轢
8.台風ラッシュでも損保安泰の理由、火災保険還元率は宝くじ以下
9.9割超の人が「“ニート”は社会的に大きな影響」と認識、NRI調査
10.サムスンの“実力”を見誤るな

CNET Japanでも「SEが選ぶ2004年10大ニュース」とやらがあるのですが、そちらでも1位は「楽天のプロ野球参入が決定」2位が「ライブドア、プロ野球参入の意思表明」となっています。今年は、プロ野球新規参入関連事項がどこで行われる10大ニュース調査でも上位を占めそうな感じですね。

私としましては、日経BPアンケート調査で25位に甘んじた「東西NTTが新固定電話に対抗、基本料値下げにプッシュ無料化」と、同じく日経で調査項目外となってしまった「米IBM、全PC事業を中国レノボに売却」の2つを、将来への影響度大だと考え、2大ニュースとしたいと思います。

NTTの基本料値下げについては、その伏線として下記事項が挙げられると思っています。

・光ブロードバンドサービスの普及拡大
・IP電話サービスの開始

もちろん相互接続料金の算定基準やらドライカッパー電話サービスの開始やらと色々あるのでしょうが、電話からインターネットへライフライン基盤が変わるということの現われになっていると考えています。そして、ライフラインの変化はライフスタイルの変化へと直結するのだと思います。

IBMの全PC事業売却については、ネット利用端末がPCから他のものへ変わっていく予兆だと理解しています。前々から言われていたことですが、携帯電話を代表選手に、ネット接続端末が多種多様になっていくのでしょう。言われてはいましたが、PCが主役の座から退くことを指し示す具体的な動きが初めて見えたのではないでしょうか。

後々振り返れば、新しいライフスタイル・ビジネススタイルの予兆が見えた年が2004年なのではないかと思ったりするのです。来年は、より一層具体的な話が続出するのではないかと期待しています。

MOT -真実の瞬間・決定的瞬間-

最近良く耳にするMOTとは、Management of Technologyの略で、技術経営と訳されます。

日々刻々と進歩する“技術”を事業に結びつけることにより、企業競争力を向上させようという活動全般をさす概念なのですが、技術版MBAとも言われ、技術経営を学ぶためのコースを設置している大学院やビジネススクールもあります。

前振りが長くなりました。
表題にしたMOTは技術経営ではありません。

今回取り上げるMOTとは、Moments of truthの略で、真実の瞬間とか決定的瞬間と訳されます。スカンジナビア航空(SAS)のヤン・カールソン氏が社長に就任後、経営理念として標榜した言葉です。以下、氏の言葉の要約。

SASを利用する乗客は年間1000万人程。この乗客一人ひとりが、SASの受付カウンターのスタッフや従業員等、平均して5人程度と接触機会を持つ。すると、年間で乗客とSASスタッフとの接触回数は5000万回となる。また、1回あたりの平均接触時間は15秒程である。

乗客が航空会社を選んだり止めたりするのは、実はこの5000万回の1回毎の瞬間に抱くイメージや印象に負うところが大きい。それが正しい真実だとすると、この5000万回の1回1回の15秒がまさに「決定的瞬間」となる。従って、この決定的瞬間を充実させるために、顧客接点に事業全体の中心価値と活動意思決定を置く必要がある。


既述の「CSとES 」において、「企業⇔社員、社員⇔顧客という図式が引いては、企業⇔顧客という関係図式を創る。単に商品やサービスの品質や価値だけではなく、企業⇔社員という関係の中で全社的に取り組んでいく経営品質が、顧客満足を生み出すのだと思う。」と書きました。

企業の全ての業務が、真実の瞬間・決定的瞬間に対して直接的ないしは間接的に関わっているのだと思います。私自身は今、自社のお客様と直接の接点を持つ仕事をしておりません。しかし、真実の瞬間・決定的瞬間を間接的にサポートしているのだという意識を忘れないようにしたいと思います。

ハインリッヒの法則 (1:29:300の法則)


ハインリッヒの法則は、1:29:300の法則とも呼ばれます。

アメリカの保険会社で安全技師だったH・W・ハインリッヒ氏が労働災害の発生確率を分析し、1件の重大災害の裏には、29件の軽災害があり、その裏には怪我はないけれどもヒヤッとした体験が300件はあるという結果を発表したものだそうです。

もともとは災害や事故等の発生比率に関する話なのですが、ビジネスの場においては、お客様からのクレーム発生や失敗発生率に置き換えて良く用いられます。

お客様から1件の大きなクレームがあれば、その裏には29件の騒ぎにならない程度の苦情があり、更には苦情にはなっていないが社員が「しまった!」と思っている300件の失敗が存在するということです。とある老舗料亭の板前長が言う「小事は大事 」というのは、まさにその通りということになります。

この法則をクレームに例える際に気をつけるべきことが1点あります。
ハインリッヒの法則は、クレーム、苦情、失敗といった事象を企業側の視点に立って見ているということです。

あるデータでは、商品・サービスに不満を持った顧客の96%は、企業に対して何も言わないそうです。つまり、顧客の視点にたって考えると、1件の苦情があれば、その裏には24人の不満を持ったお客様がいるということになるのです。

このデータをハインリッヒの法則に当てはめると、お客様から1件の大きなクレームがあれば、その裏には29件の苦情があり、更には、声にはしないが不満を感じているお客様が725人いるということになります。

企業側が考えている以上に、お客様は厳しいものだということですね。


※「法則」というテーマを追加しました。
※定番テーマにしていきたいと思います。