頭の整理と思考のトレーニング -6ページ目

部下育成指導

マネージャーの「仕事」において、部下育成は最も重要なものの1つ です。私はそういう立場にはありませんが、後輩社員の育成指導をする機会は良くありまして、日々その難しさを実感しています。

先日、とある老舗料亭の板前長の話をTVで見て、非常に心に響くものがありました。数多くの板前さんを取り仕切り、老舗料亭としての誇りと“プロの仕事”に拘っていらっしゃる方のお話です。

■叱るということ

叱るということは、上の者の言葉・行動をきっかけに部下自身が変わるように促すということ。

嫌々ながら変えるのではなく自らが反省し、「次こそは」と発奮させなければならない。そのためには、上に立つ者が模範を示すことが必要。どんな世界でも上に立つ者はそれなりの努力をしてその地位にいるのであって、叱れる力はあるはず。真剣に物事に取り組み真向勝負の気持ちを持って、事に立ち向かっていれば出来る。叱れない上司というのは、それだけ真向勝負を自分がしていないということ。

私は後輩社員に嫌われたくはありません。「叱る」という行為は、叱っている方も気分の良いものではありません。また、叱ったりアドバイスを送ったりしている最中に「自分は出来ているのか?」等と自問自答したりすることもしばしばです。

それでも、ある意味自分に鞭打ちながら「叱る」という行為を行ってきたのですが、自分自身がどれだけ真向勝負を出来ているのか、改めて胸に手を当ててみたいと思います。

■小事は大事

大きな失敗はその本人だけでなくお店の信用にも関わる。だから絶対に起こしてはならない。そのためにも小さなことでも叱らなければならないときは注意ではなく本気で全力を出して叱る。中途半端は叱責は効果は薄く、また同じ失敗を繰り返す。それが真剣勝負、真向勝負しているプロの職場である。叱ることの出来ない上司の元では優秀な人間は決して育たない。

大きな事も最初は小さいことから始まる。小事をおろそかにしては大事は絶対に成し得ない。一流と二流の違いはほんの小さなミスでも良しと思うか、そのミスは許せないと思うかの違いで決まる。

些細な事だから目を瞑っておいてやるか・・・。正直、そういうことが今までに何度かあります。それを優しさだと自分を誤魔化したことがあります。

大きな失敗は本人が自分で反省しているもの。小さく些細な失敗は、本人が気づかずにいるもの。本人が気付いていないことを一つ一つ注意し叱ってやることこそが、本人のためであり本当の優しさなのだと、分かってはいたつもりなのですが、出来ていないのが現実かもしれません。

今までも頭では分かっていたことです。しかし実際に自分が後輩社員の指導を行うようになり、何よりも難しいことは「叱る」ことだと身をもって実感している次第です。

非連続の出会い

SNSサービス「GREE」運営者であり、10月に楽天を退社、12月にグリー株式会社設立予定の田中良和氏。田中氏が新卒で楽天に入社することになった経緯を自身のブログで紹介されています。そこには、先日カカクコムの子会社になったフォートラベル創業者・津田氏(楽天出身)や楽天の三木谷社長との出会いが今に繋がっていると書かれています。

まずはご一読を!

12月1日のエントリーなので今更感もあるのですが、「出会い」と「人生の契機」に深い感慨を覚えました。「連続と非連続」で言えば、人生における“非連続”の出会いということになるのでしょう。

最後は下記のような締めくくりです。

で、こうなって、思うのですが、あのSFCではじめてあった2人が今、このような形でいるとは、あの時はまったくどころか、天変地異以上に予測の範囲外だったと思うと、本当に懐かしいのと、あの出会いがとっても大切なものだったことに気づきます。そして、これまではたった、5,6年前の出来事だと思うと、次の5年後、(僕は32歳ですが)には、どうなっているんだろうと、未来はわからないなぁとつくづく思います。

人生で、このような、いい出会いをいくつ作れ、刺激しあう友達を何人作れるのか、そのために何を自分が努力していく必要があるのか、何が足りないのか。放っておくとすぐに忘れがちになる、友達への感謝の気持ち、友達という構成要素が自分の人生をいかに意味あるものに変えているのかという事実を、また強く思い出させてくれた、個人的にはそういう側面が一番大きい出来事でした。


想像もつかないような明日を生み出す出会いって、素敵だなぁと素直に感じ入るものがあります。それは、振返って初めて分かるものなのでしょうが、私自身に田中氏程の経験は今のところありません。
(プライベートでは、妻との出会いでしょうか?笑)

「こうありたい」という切望が、それを実現するための出会いを生むのかもしれません。そういう意味では、私自身の想いとビジョンと行動の足りなさを自戒しようと思います。

自説の足りないエントリーとなってしまいましたが、そんな“想い”の共有です。

ビジネス・ファンダメンタル

TB:インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞
CNET Japan Blog:梅田望夫・英語で読むITトレンド

梅田氏がプロ棋士の羽生善治氏(現:王位・王座)に「この10年のITの進化とインターネットの普及によって将棋の世界の何がいちばん変わったか」と聞いたところの回答が下記の内容。

「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということだと思う。しかし、その高速道路を走り切ったところで大渋滞が起きている。自分達の世代の感覚からすると、全く信じられないスピードなのだ。」
「将棋の駒の動かし方すら知らない小学校高学年生が5年くらいでプロ棋士にまで駆け上がる」ということが将棋界では起きているそうです。そして更に梅田氏が「そのあとの大渋滞とは、どういうことなのか」と聞いたところ、

「確かにそのレベルまでは一気に強くなれるのだが、そこまで到達した者達同士の競争となると、勝ったり負けたりの状態になってしまい、そこから抜け出るのは難しい。一方、後ろからも高速道路を駆け抜けてくる連中が皆どんどん追いついてくるから、自然と大渋滞が起きる。最も効率のよい勉強の仕方、しかし同質の勉強の仕方で、皆が高速道路をひた走ってくる。結果として、その一群は確かに一つ前の世代の並のプロは追い抜いてしまう勢いなのだが、そうやって皆で到達した所で直面する大渋滞を抜け出すには、どうも全く別の要素が必要なようである。」

将棋は、定跡を覚え、棋譜を研究し、他の棋士達と勉強会を開き、切磋琢磨して強くなっていくものでした。定跡や棋譜だけでも何万~何十万通りという情報です。

現在は、パソコンの中にデータ化され、紙をペラペラ捲ることなくスムーズに勉強ができます。実際に棋士が集い勉強会を開催するのも、現在は、ネット対局で腕を磨くことができます。プロ棋士もネット対局をする時代なのです。

ITやインターネットの進展により、情報の共有化と知識の習得に要するスピードが飛躍的に速くなったのは、ビジネスの世界のみならずプロ棋士界においても同様のようです。


大渋滞を抜け出す要素とは

羽生氏が言うところの「大渋滞」を抜け出すのに必要な別の要素とは何なのでしょうか?「高速道路」についてプロ棋士の世界とビジネスの世界に共通点があるのであれば、「大渋滞」を抜け出すのに必要な要素にも共通点があるのではないでしょうか。

ビジネスについて言うと、ある一定の情報を得ることができる環境下において、より高い成果を生み出すための差となるポイントは、得た情報を如何に活用することができるかという点に尽きると考えます。

職種に限らずテクニカル・スキルは勉強して身に付くものです。あらゆる情報はネット上に溢れています。もちろん仕事場のリアルな世界にも溢れています。同じスキル・同じ情報量下にあれば、差になるのは、ビジネス・ファンダメンタルです。

コミュニケーション力やリーダーシップ力等といった「対人関係力」、クリティカルシンキングやロジカルシンキングといった「思考力」。思考力を突き詰め、経験を重ねていく中で身に付く「大局観」。これらが全てと言い切ることは出来ませんが、私はこういった力がビジネスにおいて“差”となる力だと考えています。

将棋を指すにあたっても「思考力」や「大局観」といったファンダメンタルスキルが重要であることは同じではないかと想像してみました。

そしてそれはおそらく、将棋においてもビジネスにおいても、ITやインターネットが進展・普及する以前から、とても重要なファクターであることに変わりはないのだと思うのです。

素直な心

Ask much, know much.(大いに聞いて、大いに知れ)

自己の価値観を成長させ、より一層高いレベルのビジネスパーソンを常に目指していくためには、「素直な心」が大切だと思います。他人の話や意見を聴く耳、新たな刺激や違った意見・価値観を受け入れる度量を持っていなければ、自己の成長は遅々としたスピードでしか進まないものです。

素直な心を持ってそれらを受け入れ、そして分からないことを素直に質問する、自問自答することが、成長への次のステップだと考えます。まさに「聞くは一時の恥知らぬは一生の恥」です。そして「ナゼナゼ5回」を繰り返す。少し前に流行った“質問力”とはそういうことだと思います。

仕事をしていくにあたっての自分のスタイルを確立していくためには、最初は格好付けていては駄目だと思います。まずは何でもやってみること。指示、依頼されることを兎に角やってみること。やってみて初めて分かること、覚えることが山のようにあります。勿論、実行していく中で自らそれを振り返ることを忘れては糧となり得ませんが。


仕事は、目的・目標を明確にし、強き意思を持って、考えることを怠らず、PDSサイクルを継続して回していくことが肝要。また、自分自身の成長によって仕事の質を高めていくためには、自身の根底に素直な心を持っていることが大切なのだと思います。

アントニオ猪木氏の「バカになれ!夢を持て!」という台詞をご存知ですか?奥が深いなぁと改めて感じる今日この頃です。

連続と非連続

トラックバック:人との出会い、不連続な成長が作るキャリアパス
CNET Japan Blog:ゲストブログ(株式会社はてな:伊藤 直也氏)

株式会社はてなの伊藤氏寄稿文の中で、「連続的な成長と、不連続な成長」という項目があり、下記のように記されています。(以下抜粋)

 毎日職場で出会う先輩、同僚との交流の中で得るものがないのかというとそんなことはありません。彼らとの交流の中で磨かれていく価値観というのは、自分がもともと持っている価値観です。余計な部分をそぎ落とし、それを確信と変えていく、つまりはブラッシュアップです。これの成長具合は、グラフの線ように連続的な成長でしょう。
 一方、大きな企業に所属していた私が、ベンチャー企業で活躍する彼らに出会ったときの価値観の揺れ動きというのは、そこに大きな塊がぶつかり衝撃を与えたような揺れ具合でした。これはまさに、不連続な成長だったのだと思います。


連続、不連続というWordを目にして、数年前に読んだSONYの出井伸之会長著「ONとOFF」という書籍の中の一節を思い出しました。「ビジネスの連続、そして非連続」という章にて、下記のような記述があります。
(以下抜粋)

SONYのビジネスには、連続線上で考えていける部分と技術革新などで起こる非連続の部分とが共存しています。連続線上で考える部分では、過去の「負」を改善することも含めもっとスピードアップしなければなりませんし、後者については次の「波」をどう探すか、その2つを同時に考えていく必要がある。競争戦略と成長戦略という言い方もできるでしょう。

企業の成長も、人の成長も、過去からの取組みや関わりの中で、1つずつ着実に進んでいく「連続的な成長」と、技術革新や新しい人との出会いといったイノベーションによって、ある種飛躍的に伸びる「非連続的な成長」とがあるという点においては同じだということなのでしょう。

自分とは違った環境の中で働く人や違った価値観を持っている人との出会いというのは、その人との接点が長い短いに関わらず、ある意味刺激的なものだと思います。企業においても同様で、技術革新というイノベーションのみならず、異なる業種業界の企業とのアライアンス等も非連続的な成長をもたらす1つのきっかけ足りうるのでしょう。

非連続的成長≒飛躍的成長とすれば、飛躍的な成長を遂げるためには、自ら進んでそういった出会いを求めていく必要があるのは言うまでも無く、一時流行した(今も?)異業種交流会といったものは、まさにそういった出会いを求めて参加するのでしょうね。


ある意味、私がブログを書き始めたきっかけも、ブログという日常とは違う世界に足を踏み出すことで、自分自身に新しい刺激を与えて何かしら非連続的な成長を遂げたいという願望であったのかもしれません。

ブログ記事の掲載は不定期で「非連続的」ですが、ブログそのものの運営は「連続的」にいきたいと思っております(苦笑)。