頭の整理と思考のトレーニング -7ページ目

CSとES

「事前期待<事後の享受価値」=満足
「事前期待≧事後の享受価値」=不満足

顧客満足(CS:Customer Satisfaction)とは、顧客が商品・サービスを購入する前に抱いていた期待値を上回るだけの価値を、購入後に感じている状態であると考えます。事前に期待していたのと同程度のレベルで商品・サービスを提供しても、大きな満足、言い換えれば付加価値を感じるには至りません。

従業員満足(ES:Employee Satisfaction)とは、社員が会社に対して抱いていた期待値を上回るだけの価値を、会社から享受できていると感じている状態であると考えます。社員が享受する価値とは、評価・報酬・福利厚生のみならず、むしろそれ以上に、やりがいや自己成長機会等を指すのだと思います。

顧客に対する商品やサービスの提供は、企業⇔顧客の関係のみでは成り立ちません。そこに働く社員の知識や経験、意識、スキルレベルなど総合力が問われることになるはずです。それは、社員=サービスの提供者になることが多いからです。つまりサービス品質は、社員のパフォーマンスによるところが大きいのです。

企業⇔社員、社員⇔顧客という図式が引いては、企業⇔顧客という関係図式を創ります。ブランド力などはその最たるものだと思います。単に商品やサービスの品質や価値だけではなく、企業⇔社員という関係の中で全社的に取り組んでいく経営品質が、顧客満足を生み出すのだと思うのです。

だから私は、ESなくしてCSは成り立たず、CS無くして企業の継続的発展は望めないと思うのです。

経営とは

トラックバック:[ファイナンス] 経営とは?
          グループブログFPN(板倉雄一郎氏寄稿)

「経営とは、株主資本の管理」ということが結論です。

一般的に「経営とは?」と問われた経営者は、普段の「作業」を思い浮かべ、やれ「能力の高い社員を集めること」だとか、「リーダーシップ」だとか、「組織の管理」だとか、様々な作業面から思いついたことをその答えとすることが多いわけです。

ですが、以上の「作業」は手段であって、その目的は、「株主から預かった資本を、彼らの期待収益率以上の利回りを、事業によって達成する」ということに集約されるわけです。この意味では、ファンド運営も、事業会社も、金融機関も、すべて全く同じ結果を追っているわけです。不動産投資でも、株式投資でも、債権への投資でも、その商品の性格と詳細に違いがあっても、すべて全く同じお金の理屈の上に成り立っているわけです。

ですから、投資家(企業の場合株主)の期待収益率(=株主資本コスト)(a)以上の事業利回り(投下資本利益率)(b)を実現するのが、経営者として最低限の義務であって、(b)―(a)をスプレッドといいますが、それがどれほどプラスになるかが、すなわち経営手腕ということになります。

経営とはこの一点に集約されるのです。

板倉雄一郎氏は、かつてインターネット無料接続サービスで旋風を巻き起こし、今はベンチャーキャピタル経営、投資家として活躍されています。

「投資」という側面から企業経営を見た場合、板倉氏の仰る「経営とは株主資本の管理である」というのは、その通りなのでしょう。直接的には異論はございません。ただ同意できるのは、企業を資金の投資先として捉えた場合、という前提付きです。

私は経営者ではありませんので、経営の何たるかを分かっているのか問われると辛いのですが、本ブログは「思考のトレーニング」でございますので、企業に勤めるものの視点と意見ということでご容赦頂きたいと思います。

私は、ここ数年来言われるところの株主至上主義的な考え方の経営論に異論ありです。

企業のステークホルダーは株主・経営者・従業員・顧客とあるわけで、私は、その誰もがハッピーになるバランスを上手く保つのが経営なのだと思っております。

昨今のアメリカ的な企業経営の捉え方は、あまりにも株主だけに囚われ過ぎ、また同じく昨今流行の「顧客志向」至上主義的な話は、あまりにも顧客だけに囚われ過ぎ、4つのステークホルダーの中のそれぞれ1つだけしか見ることができていないような感さえ与える程です。

経営者は、経営者として企業をどのようにしていきたいのかという自らのWILLを明確に(ある意味我侭な程に)示し、更に、株主や顧客のことを考えるのと同じように従業員満足に想いを馳せることの重要さを忘れてはならないと思います。CS(Customer Satisfaction)と同じ重さでES(Employee Satisfaction)が語られることの少なさに不満を感じるのは、私が従業員という立場にいることの甘さでしょうか?

企業が利益を追求し事業の拡大を行うこと≒株主資本の管理、それらを実現していくためには当然顧客のことを第一に考えなければ上手くいくはずがなく、事業を行なっていくためには従業員と団結して事に当たらなければならないのだとすれば、どれを最初に論じようとも卵が先か鶏が先かの議論なのかもしれません。

声高らかに書いているのが恥ずかしく成る程当たり前の事だとは思うのですが、どうしても株主と顧客しか頭に無いのでは?と思える論調が世間一般的に強く感じ、一度声をあげてみたくなった次第です。


企業が株式を公開するのは、資金調達のためです。そういう意味では投資家(株主)は、投資した資金を企業経営という形で運用し、適切な利潤をもたらしてもらわなければならないということは分かります。しかし、「経営とは」と題した場合、経営は株主のためにのみ行われるものだとは決して思いません。もちろん板倉氏はその前に〔ファイナンス〕と括っているのですが。

考える技術



著者: 大前 研一
タイトル: 考える技術


思考力を鍛えたいと思っている私は、飛びついて読みました(笑)。
大前氏の著書は昔から大好きですが、私にとって、数多くの氏の著書の中でも秀逸の1冊です。

氏は前著『新・資本論』において、先人がアメリカという新大陸を発見し新しい時代に入ったように、時代は「見えない大陸」を目の前にしていると述べています。その大陸は、4つの経済空間が複雑に絡み合って構成されおり、それらを「実体経済」「ボーダレス経済」「サイバー経済」「マルチプル経済」と定義しています。各経済論の解説は前著をお読み下さい。

見えない大陸を迎えている今、ビジネスパーソンは“論理的思考力”が無ければ生き残ることが出来ないとし、今回の「考える技術」は、その力のつけ方・鍛え方の指南書になっています。

本書を読んで、私はまだまだ「考える」ことが足りないと大いに反省し、今日からの仕事への取り組み姿勢に早速反映していこうと思いました。

新・資本論だ、○○経済だ、と仰々しい言葉を冒頭に並べてしまいましたが、本書は、事業課題の分析シミュレーションや、プレゼンテーションを実施する際の思考について等、身近に感じられる話で構成されており、“論理的思考力”の必要性を痛感させられます。

また私自身の自己分析として、「創造力・発想力」という弱さを今まで自覚していたのですが、氏の「新しい発想や新しい構想というものは、論理的思考の延長線上にあるものであって、突然出てくるものではない。」という言葉に、「創造力・発想力の弱さ=考えることの足りなさ」であると再認識させられました。

人を納得させるための力も、本質を見抜く力も、新しい発想を生み出す力も、未来を予測する力も、全ての起点は「論理的思考力」と「行動力」にあるのです。(「思考力」という言葉ばかりが先立ってしまいましたが、思考のプロセスにおけるフィールド・ワークの重要性についても述べられています。)

論理的思考力を鍛えるためには、日常のトレーニングが重要だそうです(当然ですね・・・)。そのためには、

■常に好奇心を持つこと。
役に立たないと思わず、どんなことでも好奇心を持って話を聞き、調べ、「知的備蓄」を行っておくこと。自分がいざという場面に出くわしたときの思考空間が広がる。

■時間を中途半端に使わないこと。
1年間で100時間の勉強が忙しいからできない、という人に、「1年間にプロ野球のTV中継を何時間観るのか?」「ゴルフは何時間自分でやり、何時間TVを観るのか?」と問えば、凡そ300時間くらいは使っているもの。忙しいと言っている人間に限って、実は無駄な時間が多いもの。

自分を戒め、日々精進したいと思います。
本書は私のビジネス・バイブルの1冊に仲間入りです。


思考力格差の時代とは、思考力によって極めて大きな経済格差が生まれる時代。知的に怠惰な人間は生き残れない。人の2倍考える人間は10倍の収入を、3倍考える人間は100倍の収入を、10倍考える人間は時価総額1兆円企業の創業者になれる可能性もある。(本書より)

Work Styleの多様性 -頑張れ!団塊の世代-

gooニュース:平均年齢62歳 日本IBMがIT特命営業チーム結成

「IBMシニアプロ コミュニティー」と名付けた新チームは、IT業界での勤務が長い52~67歳で構成。7割は日本IBM出身者だが、今後、ライバル社出身者も積極的に集める。メンバーはIBM社員にはせず、製品の販売実績に応じて報酬を払う見通し。
(中略)
IBMグループはかつて「終身雇用」を標榜(ひょうぼう)していたが、90年代初めの不振時に初めてリストラに踏み切り、その伝統を放棄したと言われた。しかし年金の受給年齢が上がり、高齢者雇用を求める声が世間で高まっている。新チームのメンバーの一人は「最前線に出て、もう一度、仕事の達成感を味わいたい」と話す。

団塊の世代と呼ばれる年代を中心とした特命チームだそうです。

昭和22年から26年頃生まれを「団塊の世代」と堺屋太一氏が命名したのですが、この世代は凡そ1000万人もいるとのこと。日本の人口を約1億3千万人と考えれると、団塊の世代が日本の10%を占めることになります。55歳定年制(管理職)の会社であれば、この世代が会社をリタイアし始めており、60代以上のシニア層と合わせて、ここ最近注目の「シニア・マーケット」という巨大市場を形成することになるわけです。

団塊の世代が注目される理由は2つだと思います。
1つには、大量の社員が定年退職を迎えることにより、働き手が不足してくるという企業経営の問題。1つには、定年により退職金を手にした富裕層、購買顧客層として捉えるマーケティングの側面。

ここ数年の不況においてはリストラ対象世代とされてきたわけですが、働き手が不足するだ、購買顧客層だと、時と視点が変われば勝手なもので、団塊の世代方々にとっては甚だ迷惑な話ですね。

私は「団塊の世代」「社員の高齢化」といった言葉に暗い響きやイメージを持っていたのですが、今回のIBMの話は、久しぶりに前向きな、元気の出るニュースだなと妙に嬉しくなった次第です。


長寿化に伴い、元気な働き手として活躍できる年齢上限も上がっている昨今、IBMという大企業の取り組みの成果は注目したいところであり、今後、他企業にも是非参考にしてもらいたいと思います。

団塊の世代の活用、短期契約社員(派遣社員)の活用、インターネットやITの進展に伴う在宅勤務・在宅ビジネス等々、一労働者の視点から考えても、これからのワーク・スタイルの多様性に関する話題は、非常に興味深いものがありますね。

ブランド戦略

日経BP:ソフトバンクがブランド統一で社名変更を検討,年内に結論へ

現在は“本業”である「ソフトバンク」のソフトウエア流通事業のほか、個人向けブロードバンド・サービス事業のYahoo! BBを展開する「ソフトバンクBB」、法人向け通信事業の「日本テレコム」、買収を表明している球団「福岡ダイエーホークス」の運営など、さまざまなブランドと企業がグループ内に存在し、増え続けている。10月には英ケーブル・アンド・ワイヤレスの日本法人ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(C&W IDC)の買収も発表している。
これら各社の社名を変更して統一、ブランドの一体感を出すのが狙い。

企業の経営戦略として「ブランド戦略」は非常に重要だと思います。

アメリカ・マーケティング協会による「ブランド」の定義は、「ある売り手あるいは売り手の集団の製品及びサービスを識別し、競合相手の製品及びサービスと差別化することを意図した名称、言葉、サイン、シンボル、デザイン、あるいはその組み合わせ」とありますが、私は「ブランド」に対する定義を「企業-顧客間における、ある一定の信頼の証」としてみたいと思います。

ソフトバンクの場合、プロ野球球団買収を良い機会として各グループ会社名の統一を図り、ソフトバンク・グループと顧客との間に、ある一定の信頼感(今回の場合はイメージ)を創るということなのだと思います。


話の起点を企業ではなく自分自身として、ブランド戦略を考えてみるとどうでしょう?経営理論としてのブランド戦略を、自分自身に当てはめてみるとどうなのでしょうか?

営業に携わる人のみならず、どんな業務を担当している人にとっても「後工程はお客様」と考え、「自分自身-顧客間における、ある一定の信頼の証」を築くことができているでしょうか?

○○さん、と自身のステークホルダーが名前を聞いた時に、何かしら具体的なイメージを抱き、ある種の信頼感を感じてくれているでしょうか?

私は、自分という会社の自分ブランドを確立できるように仕事をしたいと思っています(自戒)。自身のコア・コンピタンスを確立し、ブランド・ロイヤルティを高め、ブランド認知度を高め、顧客が感じてくれる私の仕事の品質を高め、私自身のブランド・エクイティを高める。それがひいては、仕事の成果や評価や報酬に結びつくはずだと信じています。

自分という会社を経営していくのは自分です。
自分という会社の経営を人任せにはできません。
安定した黒字経営を実現できるよう、ワクワクするような事業展開が繰り広げられるよう、計画を立て、戦略を練り、目標達成に向けて経営努力をしていかなければなりません。

経営理論に関する勉強、知識の習得は、自分経営のための礎でもあるのです。業界で卓越した企業として、社会に消えることの無い足跡を残せる企業として、自分という名のビジョナリー・カンパニーを築いていきたいものですね。